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M6L8

金属錯体型ナノカプセル

金属錯体型カプセルの自己集合 

ディスク状三座配位子1のピリジル基と中心ベンゼン環の間に1,4-フェニレンを挿入したディスク状三座配位子2では、Hg2+イオンを用いることにより動的ナノカプセルを構築できることが明らかとなった(図).1H NMRおよびESI-TOF mass測定の結果、[2]/[Hg2+]比に応じて、[Hg628]12+カプセル型錯体と[Hg624]12+かご型錯体がそれぞれ定量的に生成した単結晶X線構造解析の結果、[Hg628]12+カプセル型錯体は、八面体構造であり、各頂点に八面体型六配位のHg2+イオンが位置し、八つの各面をディスク状配位子2が占めていた(Angew. Chem. Int. Ed. 45, 6488 (2006))一方、[Hg624]12+錯体については、1H DOSY NMR測定の結果、[Hg628]12+カプセル型錯体と同等の流体力学半径を持つことから、[Hg628]12+カプセル型錯体と同じ八面体型の分子で、八面体から四つの配位子2が抜けたかご型の構造であると考えられるまた、これらの錯体ではそれぞれ蛍光挙動が大きく異なり、両錯体間の構造変換に伴う蛍光の可逆的なON–OFF制御が明らかとなった(J. Am. Chem. Soc. 129, 5300 (2007))

また、ディスク状三座配位子2はHg2+イオンの他九種類の二価遷移金属イオン(Mn2+, Co2+, Fe2+, Ni2+, Cu2+, Pd2+, Pt2+, Zn2+, Cd2+)とも錯体形成し、いずれもカプセル型[M628]12+錯体を定量的に形成することを見出し、この配位子が八面体型カプセル錯体を形成する一般的を持った配位子であることが明らかとなった(Angew. Chem. Int. Ed. 45, 6488 (2006))

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分子カプセルの内部空間の事後修飾による機能化 

分子カプセルは特異なナノ空間を提供することから、多様な利用の可能性を秘めている.カプセル内部の空間の特性を自在にコントロールするためにはカプセル内部の自在修飾が欠かせないが、最も容易な手法は予め調整したカプセル分子の内部空間を事後修飾することである.これにより、1種類のカプセル分子から様々な修飾カプセルへ誘導することが可能となる.しかしながら、自己集合性カプセルの事後修飾においては、カプセル分子の分解との競合、カプセル内外の反応選択性や官能基導入の定量性など、解決すべき問題が多い。最近我々は八面体型六核カプセル錯体の頂点に位置する六つの金属イオン上における選択的な配位子交換挙動を見出し、これを利用したカプセル錯体内部の事後修飾法を開発した.

 三つの3-ピリジル基を有するディスク状三座配位子1と二価遷移金属イオン(M: Mn, Co, Fe, Ni, Cu, Pd, Pt, Zn, Cd, Hg)から3 nm径の八面体型六核カプセル錯体が生成する[2].これらの錯体の中で、八面体六配位構造の金属イオンについては、カプセル分子の内外からアニオン性配位子(TfO, ClO4)が配位している(図).興味深いことに、カプセル内外にあるアニオン性配位子のうち、内側の6つの配位子が選択的にスルホナート配位子と交換する現象を見出した.例えば、TfO配位子が配位したHg618·(TfOin)6·(TfOout)6錯体に、トシラート配位子(TsO)を加えると、カプセル錯体内部の六つのTfO配位子がTsOと交換し、Hg618·(TsOin)6·(TfOout)6錯体を生成することが1H NMR, 19F NMRおよびESI-TOF mass測定から明らかとなった.TsO配位子を他の様々なモノスルホナート配位子に替えても同様の選択的配位子交換が進行することから、一種類のカプセル錯体を出発物質として、決められた数の官能基を高い位置選択性を伴ってカプセル内部に導入できる手法となることが示された.

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分子カプセルの内部空間の事後修飾による機能化 

さらに最近、カプセル錯体のコアを選択的に修飾する手法の開発を目指し、カプセル錯体の両極をビススルホナート配位子で連結することに成功した.Hg618·(TsOin)6·(TfOout)6カプセル錯体に対してビススルホナート配位子A2–を加えると、段階的にA2–がカプセル錯体内部に導入された.1つの架橋配位子A2–が導入されたHg618·(Ain)2·(TfOin)4·(TfOout)6錯体の溶液構造について1Hおよび19F NMR測定により同定を試みた結果、架橋配位子は向かい合う両極のHg2+イオンを連結し、D2h対称に歪むことが明らかとなった.さらに、カプセル錯体の歪み運動やカプセル内部のスルホナート配位子間の交換運動等の動的挙動も明らかとなった.

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単分散の共有結合性ナノカプセルの構築 

共有結合により連結されたナノスケールの三次元構造体は、その高い安定性から、生命科学、材料科学をはじめとする広い分野における実際的な利用が期待される化合部群である。中でも、カプセル状のナノ分子はその特異な内部空間や表面を利用した新規機能・物性発現の可能性を持つ。しかしながら、これら共有結合性の三次元構造体は合成が困難なことから、自己集合性カプセルに比べその達成例は極めて少ない。我々は、3 nmサイズの八面体型六核金属錯体型カプセルを鋳型として、自己集合性カプセルを形成する八つの有機配位子を共有結合により連結し、ナノサイズの共有結合性カプセルの高効率的な合成を達成した(図)。三つのピリジン環を持つディスク状三座配位子に末端オレフィンを導入し、この配位子(1)とPd2+イオンとの錯体形成により、八面体型Pd618·(BF4)12錯体を定量的に合成した.続いて、Grubbs触媒を用いたオレフィンメタセシス反応により、24個の末端オレフィンの連結反応を行った後、Pd2+イオンを取り除き、最後に内部オレフィンを還元することにより、目的とする共有結合性有機カプセル(2)を三段階で43%という高収率で合成することに成功した。有機カプセル3はNMR測定および質量分析により同定され、比較的柔軟な三次元構造に由来し、各溶媒における溶液内構造が変化することが明らかとなった。本有機カプセルの特徴は、鋳型合成の際に金属配位部位として利用された24個のピリジン環上の窒素が有機カプセル合成後にカプセル分子の内部および表面修飾の足場や多様な分子との相互作用部位として利用できることである。例えば、この有機カプセルの24カ所のピリジン環をN-メチル化し、24個の正電荷を持つカチオン性カプセル(324+)へ誘導すると、溶液内構造が劇的に変化し、1H DOSY NMR測定の結果、5 nmの大きさを持つことが明らかとなり、近接する正電荷の反発を受けて、分子サイズが拡張することが明らかとなった (J. Am. Chem. Soc. 131, 11646 (2010))

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金属錯体型ナノカプセル

分子ローターと運動伝搬素子

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東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 平岡研究室(機能超分子化学研究室)

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